2017年4月17日月曜日

ナショナル・シアター・ライブ ハングメン 詳細なあらすじと感想

コレド室町にあるTOHOシネマズ日本橋でナショナル・シアター・ライブ(略してNTライブ)のハングメン【原題:Hangmen】を観てきました。


マーティン・マクドナーによるストレートプレイ。2016年のローレンス・オリヴィエ賞で最優秀プレイ賞と最優秀セットデザイン賞の2部門を受賞しました。
Hangmen(吊るす人)というのは絞首刑執行人を意味します。
トレーラーはこちら。



※以下大いにネタバレ含む

■主な登場人物

ハリー (デヴィッド・モリッシー):元絞首刑執行人。現在はパブのオーナー。
シド (アンディ・ナイマン):ハリーの絞首刑執行人時代の助手。
ムーニー (ジョニー・フリン):ハリーのパブに来た客。アリスに下宿させてくれと頼む。
アリス (サリー・ロジャース) : ハリーの妻。
シャーリー (ブロンウィン・ジェームス) : ハリーとアリスの一人娘。15歳。
クレッグ (ジェームス・ドライデン) : 新聞記者。ハリーを取材しにパブへやってくる。
ヘネシー (ジョセフ・デイヴィス) : ハリーによって処刑された死刑囚。
ピアポイント (ジョン・ホジキンソン) : 元絞首刑執行人

■あらすじ

ー 第1幕 ー

物語はヘネシーの処刑シーンから。
ヘネシーは少女を殺害した罪で死刑を宣告されていますが、処刑の直前まで自らの無罪を主張し続けています。
ベッドの椅子にしがみついて死んでも離さないと言わんばかり。(この後すぐに死にますが。)
助手のシドは彼のあまりに必死な様子を見て冤罪ではないかと疑問を抱きます。
しかし、絞首刑執行人のハリーは耳を貸しません。
抵抗も空しく、ヘネシーはあっけなく処刑されます。

場面は変わり、イギリス北西部の街オールダムのパブ。
執行人を引退したハリーはパブを経営しており、店は常連客で賑わっています。
絞首刑が廃止になるというニュースが流れたある日、一人の新聞記者がやってきました。
ハリーは当初決して一個人の意見は述べないと言いますが、記者が「答えないなら同じく元絞首刑執行人のピアポイントの元へ行く」と言った途端に気持ちが変わり、インタビューに答えます。

パブには風変わりな客、ムーニーもやってきました。
ロンドン出身の彼は下宿先を探しているというのです。
この家に下宿させてほしいと頼まれたアリスは、明日保証人の情報を持って店に来るよう彼に言います。

ムーニーは翌朝早くに保証人の連絡先を持って再びパブを訪れました。
まだ寝巻のアリスが身支度を整えるために席を外している間、ハリーとアリスの一人娘シャーリーが彼の応対をします。
シャーリーは精神病棟に入院している友人のことが気になっていました。
病院は歩いて行ける距離ではないことをムーニーに話すと、彼は自分が車で送るから午後一緒に出掛けようと提案します。
なぜか話の途中で海や水着の話が出てきて不審に思うシャーリーですが、結局彼とこの後会う約束をし自分の部屋へ戻りました。

しばらくすると身支度を整えたアリスが戻ってきました。
保証人に連絡したけれどつながらなかったとムーニーに話すと彼は突然激高します。
ムーニーの豹変ぶりに驚くアリス。
ムーニーは自分の知らないところで勝手に保証人に連絡するような人間のところでは下宿できないと怒りながら店を出ます。

その日の夜もパブは常連客で賑わっていました。
彼らはその日の新聞の一面に掲載されたハリーのインタビューの話で持ち切りです。
しかし、アリスは夜になっても戻らないシャーリーが心配でなりません。
そんな中、突然ハリーの元助手のシドがパブに現れます。
シドはハリーとアリスに最近怪しい男が来店しなかったかと尋ねました。
そして最近周辺で発生した少女誘拐殺人事件の話をハリーに伝えます。
自分もこの付近で被害者の少女の写真を持った不審な男に話しかけられたというのです。
妻と娘のことは十分気を付けるようにとハリーに警告するとシドは店を去ります。

ー 第2幕 ー

とあるレストランでシドとムーニーが食事をしています。
シドは話を盛りすぎて怪しい男に被害者の写真を見せられたと嘘まで話してしまったことをムーニーに伝えました。
不審な男の存在を匂わせるだけのつもりだったのに話しすぎるシドに怒るムーニー。
シドがハリーの娘の行方を尋ねたところ、ムーニーは倉庫の中にいるという意味深な答えを述べます。
彼の言葉を聞き青ざめるシドを背にムーニーは店を出ました。

ハリーとアリスは未だ戻らないシャーリーに関して、何かよからぬことが起こっているのではないかと不安に思い始めていました。
すると、再びシドが店にやってきます。
かつて自分をクビにしたハリーを困らせようと少女誘拐事件に関して少し大げさに話すぎたことを詫びます。
しかし、今なおシャーリーは家に帰っていません。
シャーリーは今まで無断で夜分遅くまで外出したことはないのです。
皆がシャーリーは何か事件に巻き込まれたに違いないと考え始めた矢先、突然ムーニーが店に現れます。
アリスに今朝の無礼を詫び、やはり自分を下宿人にしてくれないかと頼みます。
しかし、ハリーもアリスももうムーニーをただの客としての目では見ていません。
怒りに任せ、ムーニーに襲い掛かるハリー。
彼の首にロープを巻き娘の居所を強く尋ねます。
その時、店のドアをノックする音が。
今朝の新聞記事を読んだピアポイントがハリーを訪ねてきたのです。
ムーニーは半分首を絞められた状態のまま、カーテンの裏に押し込まれましたが...

結末は是非劇場でお楽しみください!



■感想

不謹慎な笑いたっぷりの死刑執行シーンから始まり、一幕途中で物語が動き始めてからはすっかり話に引き込まれました。
キーポイントは少しずつ本性を露わにするムーニーですね。
何を考えているのか読めず不気味で、でも彼の話が気になって一言も聞き逃すまいと食らいつくように見てしまいました。
彼が長いセリフを畳みかけるように話すと脅迫されているような不安な気持ちになるのです。
しかも第二幕からは外に雨が降っているのですが、この雨の音と彼のセリフが合わさるとますます不気味で。
爽やかな見た目に反するムーニーの狂気的な面をうまく表現されていたと思います。
ジョニー・フリンさん、他の作品ではどんな演技をしているのか気になりました。

そして、この物語でもう一人重要な役割を果たすのがもう1人の絞首刑執行人ピアポイントです。
タイトルを見ると「ハングマン」ではなくあえて複数形の「ハングメン」としているのになかなか2人目の絞首刑執行人が登場せずにやきもきしていましたが、一番最後の重要なシーンでご本人が登場します。
死刑囚の尊厳や絞首刑の意義について話す彼の言葉には色々と考えさせられました。

ちなみに本作に登場するピアポイントは実在の死刑執行人アルバート・ピアポイントがモデルとなっています。
アルバート・ピアポイントはイギリス最後の死刑執行人で戦後ナチス戦犯を処刑したことで有名です。
彼をモデルにした映画もあります。
日本語版は無いようですが、ご興味ある方はチェックしてみてください。

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