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2017年5月7日日曜日

東急シアターオーブバックステージツアーレポート(舞台編)

東急シアターオーブバックステージツアーレポ第二弾。今回は舞台、そしてさらにその裏へ潜入します。

ロビー、客席を紹介していただいた後はお待ちかねのステージへ!

何度も客席から観てきた場所。たとえお客さんが一人もいなくてもドキドキします。ステージから見た景色がこちら。



美しい・・・
ステージから見ると客席がキラキラと輝いていました。そしてこんなに大きな劇場なのに思っていたより近い!スポットライトが当たっていなければ3階一番後ろの列の方のお顔までよく見えます。スポットライトを当ててもらうと見える範囲は狭くなりますが、それでもセンターブロックの10列以内くらいまではよく見えました。私たち観客はもちろん役者さんたちのことを見ていますが、同時に役者さんからも観客がはっきりと見えているのですね。これからは素晴らしいパフォーマンスの後は役者さんたちに見えるように大きくリアクションを取ろうと思います!

ステージに目を移すと、こちらは逆に客席から見るより広々しています。鬼ごっこができそうなくらいです。ここに背景や大道具が入るとまた印象は変わると思いますが、何もない舞台だと思っていたより遥かに広く感じるのですね。そして、こちらの舞台は傾斜はなくフラットでした。ちなみに、客席に傾斜がない古いヨーロッパの劇場などは逆に舞台が傾いている場合もあるらしいです。(舞台が陳列棚のように傾いているので通称八百屋舞台と呼ぶ。)



床板はどの位置でも取り外し可能となっていました。

他の劇場だと決まった場所しか床板を外せないことも多いらしいです。ということは、奈落から人が飛び出たり飛び降りたりする仕掛けはシアターオーブなら舞台上どの位置でも実現できますね。演出家だったら演出のしがいがありそう。舞台から見下ろす奈落は深くて、「奈落の底に落ちる」という言葉の意味を実感しました。


見上げると、客席からは見えないずっと上のほうに天井があります。

ずいぶん高いなと思ったら、舞台上から天井までの高さは実は客席から見える部分の約2倍もあるそうです。これだけの高さがあるので、舞台いっぱいの大きさの背景も客席からは見えないように上部に格納することができます。この背景を吊るす装置はバトンと呼ばれます。バトンの数は何と60本!バトンは1本につき1トンまでの重さに耐えることができます。このバトンにはタニタの重量計が付いていて、今何キロ分の重さがバトンにかかっているか正確にわかるそうです。思わずぶら下がりたくなるかもしれませんが、そうすると体重がばれますので良い子の皆さんはやめておきましょう笑。バトンはコンピューター制御で上げ下げします。バトンを停止する位置や降ろす速さも正確に指定できる優れものです。シアターオーブ開業して間もない頃の演目ミリオンダラー・カルテットではカーテンコールでバトンが降りてこないアクシデントもあったとおっしゃっていました。

もう一度上を見ると、作業しているスタッフの方がいます。この方は照明係で照明器具の位置を手で調整します。ここは意外とアナログなのですね。照明さんは危険な場所で作業するので必ず命綱を装着します。今回は照明の位置決めも実演していただきました。まず、役者さんが舞台に立ちます。その位置に合わせて照明さんがスポットライトをオン。これでOKだったら役者さんの足元に立ち位置を示すバミリを貼っておきます。こんな風に位置合わせするのね、と感心していたら急に私までまぶしい!照明さんが気を利かせてバックステージツアー参加者にスポットライトを当ててくれました。まるでスターになった気分です。ただ、しばらくすると暑くて汗が止まらなくなってきます。照明からこれだけ距離があっても暑くてたまらないのだから、照明スタッフさんはきっと焼けるように暑いのだろうなと思いました。客席からは見えない部分のスタッフの皆様の働きのおかげで私たちは舞台を楽しむことができるのですね。


舞台上手(客席から見て右)には搬入搬出用エレベーターがあります。

このエレベーターはツアー参加者40人でも余裕で乗れるくらいのビッグサイズ。シアターオーブの下の階のヒカリエホールでのイベントのために車の搬入で使用したこともあるそうです。舞台下手にはグリーンルームこと控室があります。(余談ですが、WOWOWでやっている井上芳雄さんご出演のミュージカルコメディ「グリーン&ブラックス」のグリーンはこのグリーンルームのことですね。)このグリーンルームにはソファやテーブルがあって幕間にはここで休憩を取ったりします。他には小さな神棚もありました。毎日開演前にこの神棚に手を合わせる役者さんも多いみたいです。また、危険な装置を使った演出の舞台の前には神主さんをお呼びして舞台上でお祓いをしてもらうこともあるとのことですが、その時のお札もこの神棚に置いておくそうです。


グリーンルームの裏にはいくつか楽屋があります。

今回はこの階の楽屋に入ることはできなかったのですが、舞台からも近い個人用の楽屋ということは主役級の役者さんたちが使用するのだと思われます。大好きなアダム・クーパーさんやラミン・カリムルーさんも使ったのかなと想像するだけで何だかワクワクしました!私たちバックステージツアー参加者はここの一つ上の階にある一番大きい楽屋Hに案内していただきました。広い部屋でたくさんの女優鏡が並んでいます。この楽屋は主にアンサンブルの皆さんが使用するそうです。この階では他にもガラス張りのリハーサル室も見学しました。このリハーサル室はカンパニーの規模によってはアンサンブルの楽屋として使用したり大量の洗濯物を干したりと様々な用途で使われているそうです。


リハーサル室を出て天井裏へ続くエレベーターまでの廊下には歴代の演目のサイン付きポスターが!

こけら落としのウエストサイドストーリーから先日千秋楽を迎えた雨に唄えばまでずらーっとポスターが並んでいます。舞台裏は写真撮影禁止なのでお写真をお見せできないのが残念ですが、これはもう本当に壮観です!どのポスターにもびっしりサインが書いてあって、ミュージカルファンなら喉から手が出るほど欲しい!私、一つ一つの演目を振り返りながらサインチェックするだけで半日はこの廊下で楽しめる自信があります笑。でも、今回はそんな時間はないので廊下を抜けて、天井裏まで進みます。この天井裏は通称スノコと呼ばれていますが、名前の由来はズバリ天井裏の床板がスノコ状になっているから。下が見えるので高いところが苦手な方は足がすくむかもしれません。ここは役者さんは普段入らない場所です。先ほど上げ下げしていただいたバトンを間近に見ることができました。実物を近くで見ると一つ一つのバトンが大きく、ワイヤーも太かったです。


最後にもう一度舞台に戻り、ツアー参加者一同ミュージカルスターになりきってカーテンコール体験。

何のパフォーマンスもしていないのに蚊帳の上がる瞬間は勝手にドキドキ。この秋来日するシスターアクトの音楽に合わせて左、右、真ん中と三方向にお辞儀をしていく三方礼をやりました。客席にはシアターオーブのスタッフさんがいてお辞儀に合わせて拍手してくれるという粋な心遣い。こんなに広い舞台でのカーテンコールは快感で、生まれ変わったらミュージカルスターになろうと決心した次第です笑。



このような形で予定よりオーバーして1時間半以上も舞台裏を説明していただきました。こんな充実していて無料、いやむしろヒカリエの商品券500円分まで貰ってしまっていいのでしょうか。もともと主にミュージカルの来日公演を観るためによく行っていた劇場ですが、このツアーに参加してますますシアターオーブが好きになりました!思わずシスターアクトのチケットを買い足してしまったくらいです。毎年この時期恒例のイベントらしいのでご興味ある方は来年是非応募してみてください。

東急シアターオーブバックステージツアーレポート(ロビー・客席編)

渋谷ヒカリエにある東急シアターオーブのバックステージツアーに参加してきました。
主にミュージカルの来日公演を観るときにお世話になっている劇場。
舞台裏はなかなか見ることができないのでずっと楽しみにしていました。
写真撮影可能な場所が限られていたので写真は少なめですが、よろしければお付き合いください。


まずは本日案内してくださる東急シアターオーブのスタッフさんからのご挨拶。

劇場をもっと身近に感じてもらいたいという思いから毎年このツアーを企画しているそうです。今年の当選倍率は何と5倍!思っていたより高倍率でびっくり。思わず隣にいた姉に「(チケット代という意味で)私はミュージカル界に貢献しているから劇場の神が当選させてくれたのね!」と喜々として話したところ
「劇場の神はお金で人を選別するんだね。」という鋭いツッコミを入れられてしまいました笑。


そんなことはさておき東急シアターオーブという名前の由来、皆さまはご存知でしょうか?

オーブという言葉は英語で球体を表す単語"orb"からきています。渋谷ヒカリエは2003年に解体された東急文化会館の跡地に建設されました。この文化会館の最上階にはプラネタリウムがありました。都会のど真ん中にプラネタリウム、何だか素敵ですね。修学旅行の行き先になるくらい東京でも有数の観光名所だったそうですよ。


次に紹介していただいたのはロビーに飾られているこちらの大きな絵。

この絵は文化会館にあった映画館、渋谷パンテオンの緞帳の複製だそうです。渋谷パンテオンは席数1250席という国内有数の大型シアターでした。東急シアターオーブの席数が1972席であることを考えると映画館としては相当な大きさだったことが分かります。ちなみにこの絵の作者はフランスの建築家、ル・コルビュジエです。少し前に世界遺産登録された上野・国立西洋美術館の設計をした方として日本でも有名ですね。実は何度もシアターオーブに足を運んだにも関わらず、私はこの絵をちゃんと見るのが初めてでした。次からはこちらの絵にも注目したいと思います。


紹介していただいたロビーの絵を眺めつつ、客席に入ります。

ここで案内役のスタッフさんはマイクをセット。今回はコードは背中に通し、マイクは頬のあたりにくるタイプのものでした。場合によってはおでこの辺りからマイクの先端が少し見える程度でお客さんからはほとんど見えないものを使用することもあるそうです。(そういえばNYでブック・オブ・モルモンを観たときは最前列だったのでこのおでこマイクが前髪からぴょこっと飛び出ていたのがよく見えました。)このマイクは実際に役者さんたちが付けているのと同じもので、目の前でセットの仕方を実演してくれました。マイクをセットする時は必ず音響さんが取り付け、位置の調整を行います。キャスト一人一人、オーケストラの楽器一つ一つにマイクをセットしていくことを考えると大変な作業ですね。マイクのコードをたどると発信機に繋がっています。発信機は握りこぶしくらいの大きさで演技中は通称マイク袋と呼ばれる袋に収納します。このマイク袋、発信機にぴったりのサイズです。というのも全て音響さん手作りだからだそう!


東急シアターオーブはステージから一階席の一番後ろまで約29mあります。

同じく渋谷にあるオーチャードホールは39mであることを考えるとシアターオーブはだいぶ距離が短いですね。演技やダンスをより間近で観ていただきたいという思いからあえて距離を短く設計したそうです。観客としては嬉しい配慮ですね。役者さんたちからも客席と近く感じると言われることがよくあるそうですよ。

1階座席の1~5列目まではオーケストラピットとして使用することもできます。

一見他の椅子と変わりありませんが、こちらの座席は簡単に取り外せるそうです。8列目からは少し傾斜がついています。私は以前シアターオーブの7列目で観劇したことがあるのですが、前の列の方の頭が被ってしまい少々観にくかった覚えがあります。舞台目の前の1,2列目が取れなかった場合、6,7列目で見るより8列目以降の方が見やすいかもしれません。また、センターブロックの座席は前列の人の頭が被らないように少し前の座席の位置からずれた位置にありました。


壁にはブロックのような凹凸、バルコニー席上部のひさしが見えます。

これはデザイン上このようになっているだけではありません。拡散壁と呼ばれる音の反響を考慮した壁なのです。この凹凸で音がいい具合に跳ね返り、ミュージカルに最適な残響時間1.5秒を実現しています。ちなみにクラシック用のホールでは余韻を残すために残響時間は少し長めの2秒程度が一般的。シアターオーブはミュージカル上演時のセリフの聞き取りやすさを考慮した残響時間を採用しています。様々な工夫の成果もあってか海外の音響スタッフさんからも音が良いとの評判らしいですよ!また壁の青色は空の色、バルコニー席の白色は雲の色を意識しています。キャッチコピーにもあるようにまさに「宙空のミュージカル劇場」ですね。


バックステージツアーレポ、ロビー・客席編はここまで。次はいよいよステージの上や楽屋へ潜入します!