2017年5月20日土曜日

ミュージカル パレード 詳細なあらすじと感想

東京・池袋にある東京芸術劇場プレイハウスにてミュージカル「パレード」を観てきました。

1999年にトニー賞最優秀作詞作曲賞と最優秀脚本賞を受賞した作品で今年が日本初演です。

<スタッフ>


  • 作:アルフレッド・ウーリー 
  • 作詞・作曲:ジェイソン・ロバート・ブラウン
  • 共同構想およびブロードウェイ版演出:ハロルド・プリンス
  • 日本版演出:森新太郎


<キャスト>


  • 石丸幹二:レオ・フランク(南部にある鉛筆工場の工場長、北部出身のユダヤ人)
  • 堀内敬子:ルシール・フランク(レオの妻、南部出身のユダヤ人) 
  • 武田真治:ブリット・クレイグ(新聞記者)ほか
  • 新納慎也:トム・ワトソン(政治活動家)ほか
  • 安崎求:ニュート・リー(鉛筆工場の夜間警備員、黒人)ほか
  • 未来優希:ミセス・フェイガン(メアリーの母)ほか
  • 小野田龍之介:フランキー・エップス(メアリーの親友)ほか
  • 坂元健児:ジム・コンリー(鉛筆工場の清掃人、黒人)ほか
  • 藤木孝:ローン判事(担当判事)ほか
  • 石川禅:ヒュー・ドーシー(ジョージア州検事)ほか
  • 岡本健一:スレイトン知事(ジョージア州知事)ほか
  • 宮川浩:ルーサー・ロッサー(弁護士)ほか
  • 秋園美緒:サリー・スレイトン(スレイトン知事の妻)ほか
  • 飯野めぐみ:ミニー・マックナイト(フランク家のメイド、黒人)ほか
  • 莉奈:メアリー・フェイガン(殺された鉛筆工場の女工)ほか


※以下ネタバレ含む

<あらすじ>

ー第1幕ー

1913年4月26日アメリカ南部、ジョージア州アトランタ。この日は南軍戦没者追悼記念日のパレードが行われていた。南軍生き残りの老兵たちは誇り高い表情でパレードに参加している。祝祭日ではあるがナショナル鉛筆工場の工場長、レオ・フランクは仕事に追われていた。そのとき、1人の少女がレオのオフィスを訪れる。鉛筆工場の14歳の従業員、メアリー・フェイガンである。彼女は名前と従業員番号をレオに伝え先週分の給料を受け取った。

翌朝、レオの自宅に2人の男が訪ねてきた。彼の務める工場で従業員のメアリー・フェイガンが殺害されたというのだ。その日に工場で勤務していたレオは有無を言わせず拘置所に連行された。妻のルシールが着替えを持って面会にやってきたものの、すぐに帰れると思っているレオはルシールを冷たく突き返す。

同じころ、もう一人の容疑者であるニュート・リーも取り調べを受けていた。彼は鉛筆工場の夜間警備員であり、遺体の第一発見者であった。騒ぎを収めるため早期解決を図る州検事ヒュー・ドーシーは初めはニュートを強く追及した。しかし、途中でこの黒人ではなくもう1人のユダヤ人の方を犯人に仕立てることに決める。

新聞記者のクレイグはこの特ダネをものにした。レオは殺人の罪で起訴されたのだ。様々な人物が彼の事件前後の不審な様子を証言する。メアリーの友人フランクは以前メアリーから「レオに付きまとわれている」と相談されたと話した。売春宿の従業員はレオは常連客であり今度若い娘を連れてくると言われたと話した。鉛筆工場の若い女工たちはレオにオフィスで楽しいことをしようと誘いを受けたと話した。フランク家のメイド、ミニーは南軍戦没者追悼記念日の夜はレオの様子がおかしく、ルシールは仕方なく床で寝ていたと話した。ルシールそれを否定するものの、活動家トム・ワトソンの煽りを受け、南部の聴衆は盛り上がる。そして最後に鉛筆工場の清掃員ジム・コンリーが証言台に立つ。彼はレオのオフィスで殺害されたメアリーを工場の地下まで運んだと話した。この証言が決定打となった。陪審員は全員レオを有罪とした。判事からも有罪の判決が下され、絞首刑に処されることとなった。

ー第2幕ー

パレードから1年後、ルシールは裁判のやり直しを求めてアトランタ州現知事のスレイトン邸を訪ねた。その日はパーティーが行われており、初めはスレイトンはルーシーを邪険に扱った。しかし、彼女の必死で訴える姿にスレイトンの心が動かされ改めて調査することとなった。鉛筆工場の若い女工たちはレオに声を掛けられたことはあるが業務に関してだけであったと訂正した。フランク家のメイドのミニーは州検事のドーシーに証言を強要されたこと話した。清掃員ジム・コンリーは改めて事件当日のことを尋ねると遺体を運んだ話に矛盾点が出てきた。

ルシールの懸命の働きかけによりレオの無実を示す証拠が次々と集まった。夫婦でありながら分かり合えなかった北部出身のレオと南部出身のルシール。皮肉にもこの事件を通じて2人は絆を深めていく。

スレイトンはルシールとの再調査を通じてレオの無実を確信した。しかし、レオを絞首刑にしなければ南部の人々の怒りは収まらないことは間違いない。判決を変更すれば順風満帆だったスレイトン自身のキャリアにも傷が付くだろう。それでも彼は自分自身の正義に従い、レオを絞首刑から終身刑に減刑することを決定した。

レオは服役のため別の刑務所に移された。久しぶりに面会したルシールはレオの首にけががあることに驚く。レオはシャワー中にカミソリで首を切りつけられたが一命はとりとめたことを話した。ルシールは所長や看守に賄賂を渡し、刑務所内でレオとピクニックをした。ほとぼりが冷めればきっと釈放されるに違いないと喜びを分かち合う2人。外が暗くなるころ、次の日曜日にまた来ると言いながらルシールは刑務所を後にした。

その夜、南軍の生き残り兵やメアリーの親友フランキーらがレオを刑務所から拉致した。そしてレオを木の下に連行すると、今からで執行されなかった絞首刑を行うと宣言する。ただしレオが自分が殺したことを謝れば許すと伝えた。しかしレオはメアリー殺害を最後まで否定し、これは神によって与えられた試練であると語った。そして最後に自分の結婚指輪をルシールに渡して欲しいと託した。ついにレオは南部の人間に「処刑」された。
新聞記者のブリットがルシールを訪ねてきた。何者かが彼にルシール宛ての封筒を手渡してきたというのである。ルシールが封を開けると中にはレオの結婚指輪が入っていた。
また南軍戦没者追悼記念日がやってきた。しかし、そこにはレオの姿はない。ルシールは一人パレードを見つめていた。



<感想>

実際にアメリカであった冤罪事件を題材にしており、観終わった後に心にずっしりと重しが残るような内容です。気になる方は「レオ・フランク事件」で検索してみてください。理不尽すぎて、神様はなぜレオにここまでの試練を与えたのかとやるせない気持ちでいっぱいになります。しかし、そんな事件を題材にしたミュージカルにもかかわらず振り返ってみると作品自体にそれほど暗い印象はありません。むしろ流れるように進んでいき、気付いたらエンディングを迎えていました。きっと実際のレオもこんな風に気付いたら殺人犯として裁かれていたのでしょう。そしてこのように感じたのは楽曲の影響が大きいと思います。拍手する間もないくらい間髪入れずに次から次へと曲が流れていくのです。これが主人公レオの意思に反して彼の運命が変わっていく様を描いているようでした。我慢できずに曲が終わったタイミングで拍手を入れている方もちらほらいましたが、今回は劇中の拍手はしない方が作品の流れを切らずに楽しめると思います。曲調も内容に反して明るいものも多いのですが、それがむしろしっくりきました。ネットの世界ではよく「祭り」と呼んだりしますが、一人の人を集団で追い詰めるときって何かお祭りのような明るい感じ、ありますよね。

演出に関しては工夫されている点が多く、ストレートプレイを数多く手掛ける森新太郎さんならではでした。印象に残っているのは冒頭の戦没者追悼記念パレードのシーンで大量に降ってくるカラフルな紙吹雪。最初はこのパレードの雰囲気を出すためだけに使用するのかと思っていましたが、最後まで舞台上は紙吹雪で埋め尽くされていました。このただの紙吹雪が場面によって雰囲気が大きく変わるのには驚きました。例えばメアリーの遺体を地下室に探しにいくシーン。遺体の入った袋にスポットライトが当たり、影のようになった紙吹雪が少し不気味な様子をうまく表現していました。また、最後のレオとルシールのデュエットでレオがルシールに膝枕をしてもらった状態で歌うのも面白いと思います。横になって歌うなんてミュージカルでは珍しいですよね。ミュージカル中心の演出家さんだとなかなか出てこない発想だと感じました。

キャストの皆さまは一覧を見て分かる通り実力派揃い。特にここ10年以上ミュージカルにご出演されていなかった堀内敬子さんの演技はずっと楽しみにしていました。石丸さんとも息ぴったり、歌声も美しく久しぶりのミュージカルなのか耳を疑うレベルでした。本当にルシールになりきっていたのでしょう、最後のカーテンコールでは涙の跡が頬にくっきりと残っているのが見えました。そしてもう強烈な印象を残したのが州検事ヒュー・ドーシーを演じた石川禅さん。禅さんは本当にカメレオン役者ですよね。観る演目によって全く違う人に見えるんです。今回も憎々しい演技が本当にうまくて嫌いになっちゃいそうでしたよ。

ただし、残念だったことが一つあります。それは音響です。オーケストラと役者さんたちのマイクの音量バランスが悪いせいか坂元健二さんの裁判のシーンなどのアップテンポの曲だと歌詞がほとんど聞き取れませんでした。パレードは歌や踊りを楽しむだけでなく歌詞の内容、セリフの一つ一つを理解しながら見るべき作品です。そのため、歌詞が聞き取れないというのは致命的だと思います。また、一幕の武田真治さんのソロ曲と二幕の岡本健一さんのソロ曲ではマイクのブチっという雑音が聞こえました。こういった特に音に関するトラブルがあると集中して観ていても急に現実に引き戻されてしまうので、細心の注意を払っていただきたいです。

音響に関しては若干不満もありましたが、誰もが一度は観ておくべき素晴らしい作品だったと思います。ただし、内容があまりにも辛いのでリピートして見るというよりはこの一回を咀嚼してきちんと味わいたいです。レオを演じる石丸さんとルシールを演じる堀内さん以外は全員自分の役以外の場面では民衆も演じてもいましたが、どんな人でもレオを追い詰める民衆の立場になりうると思います。トランプ氏が大統領になり、昔から住んでいるアメリカ人が移民を排斥するような風潮もあるこの時代にこそ観るべき作品ですね。ブロードウェイでもリバイバルやってほしいなぁと思います。

2017年5月14日日曜日

劇団四季版オペラ座の怪人観劇レポート 高井治のファントムはすごいらしい

横浜にあるKAAT 神奈川芸術劇場で劇団四季のミュージカル「オペラ座の怪人」を観てきました。


本日のキャストの皆様



  • オペラ座の怪人:高井治
  • クリスティーヌ・ダーエ:山本紗衣
  • ラウル・シャニュイ子爵:光田健一
  • カルロッタ・ジュディチェルリ:河村彩
  • メグ・ジリー:松尾優
  • マダム・ジリー:佐和由梨
  • ムッシュー・アンドレ:増田守人
  • ムッシュー・フィルマン:青木朗
  • ウバルド・ピアンジ:永井崇多宏
  • ムッシュー・レイエ:松下武
  • ムッシュー・ルフェーブル:鈴木周
  • ジョセフ・ブケー:見付祐一
  • 男性アンサンブル:高橋祐樹、宇都宮千織、佐々木純、村田慶介、山口泰伸、松永隆志、杉浦洸
  • 女性アンサンブル:大岡紋、大中ゆかり、時枝里好、岩城あさみ、松ヶ下晴美、荒巻くるみ、榊山玲子、稲葉菜々、羽田沙織、波多野夢摘、堀内恵、塩入彩香


今回の横浜公演の目玉は何と言っても生オケの復活!ブロードウェイでオペラ座を見たときに厚みのあるオーケストラに感動したことを覚えています。やはりミュージカル、特にオペラの劇中劇のある本作ではオーケストラによる生演奏がふさわしいですね。今回のオーケストラ指揮は平田英夫さんでした。




感想

オペラの怪人は作品自体が好きだから観に行くことを決めました。しかし、特にファントム役は声量が必要な作品。いくらレジェンド級役者とはいえ日本人の声だと物足りないと感じるのかな?と勝手に思っていました。もうね、あの時の自分にスライディング土下座させたいくらいです。
高井さんのファントム、

素晴らしかった!!!

オペラ座だけでなく私が今まで観たミュージカルの中でも1,2を争うくらい感動させられました。嬉しい誤算。せっかく横浜に来たから帰りに中華でも食べようと思っていたのに高井さんの歌で胸がいっぱいになり、食欲吹っ飛んだくらいです。東京、ロンドン、NYと様々な場所で観劇させていただいて、観て良かったなと思う1回に出合うことはよくあります。しかし心に残る1回というのは案外少ないものです。ですが、この高井さんのファントムは私の心に一生残ることを確信しました。オペラ座を見るといつもファントムの切なさに涙するのですが、今回はいつも以上においおい泣きました。もちろんストーリーはばっちり把握していて結末も知っていてもです。そして私の中のファントム=体格の良いおじ様というイメージは高井ファントムにより音を立てて崩れ去りました。ファントムはクリスティーヌを思うあまり脅迫、殺人など落ち着いて考えるととんでもないことをやり人々を恐怖に陥れる。そして怪人と呼ばれイメージだけが独り歩きしてしまう。しかし、本人は一人の女性を思うごく普通の人間なのですよね。だから大柄で見目麗しい俳優さんが演じるよりも小柄な高井さんの方がよりリアルなファントムな気がします。もう2幕最後のラウルとの対決のあたりでは高井さんがファントムの生き写しに見えてきましたからね。

高井さんの人生は少しファントムとリンクしているように思います。彼が劇団四季に入団したのは何と37歳の時。作曲や建築の才能があるのに見た目のせいでその才能が埋もれていたファントムと抜群の歌声を持ちながらなかなか日の目を浴びることのなかった高井治。高井さんの声には何か特別な力があると感じます。そしてその声は彼の今までの苦労した人生があってこそだと生まれるものだと思うのです。


オペラ座の怪人の劇中でファントムが出てくる時間はわずか30分程度と案外短いです。でも、高井さんの声に圧倒され作品自体が彼のファントムに支配されていました。「私、ブロードウェイ派なんで。劇団四季とか見ないんで。」というあなた。高井さんのファントムを聞かないでオペラ座ファンを名乗っちゃいけませんよ!是非一度生で聞いてみてください。


2017年5月7日日曜日

東急シアターオーブバックステージツアーレポート(舞台編)

東急シアターオーブバックステージツアーレポ第二弾。今回は舞台、そしてさらにその裏へ潜入します。

ロビー、客席を紹介していただいた後はお待ちかねのステージへ!

何度も客席から観てきた場所。たとえお客さんが一人もいなくてもドキドキします。ステージから見た景色がこちら。



美しい・・・
ステージから見ると客席がキラキラと輝いていました。そしてこんなに大きな劇場なのに思っていたより近い!スポットライトが当たっていなければ3階一番後ろの列の方のお顔までよく見えます。スポットライトを当ててもらうと見える範囲は狭くなりますが、それでもセンターブロックの10列以内くらいまではよく見えました。私たち観客はもちろん役者さんたちのことを見ていますが、同時に役者さんからも観客がはっきりと見えているのですね。これからは素晴らしいパフォーマンスの後は役者さんたちに見えるように大きくリアクションを取ろうと思います!

ステージに目を移すと、こちらは逆に客席から見るより広々しています。鬼ごっこができそうなくらいです。ここに背景や大道具が入るとまた印象は変わると思いますが、何もない舞台だと思っていたより遥かに広く感じるのですね。そして、こちらの舞台は傾斜はなくフラットでした。ちなみに、客席に傾斜がない古いヨーロッパの劇場などは逆に舞台が傾いている場合もあるらしいです。(舞台が陳列棚のように傾いているので通称八百屋舞台と呼ぶ。)



床板はどの位置でも取り外し可能となっていました。

他の劇場だと決まった場所しか床板を外せないことも多いらしいです。ということは、奈落から人が飛び出たり飛び降りたりする仕掛けはシアターオーブなら舞台上どの位置でも実現できますね。演出家だったら演出のしがいがありそう。舞台から見下ろす奈落は深くて、「奈落の底に落ちる」という言葉の意味を実感しました。


見上げると、客席からは見えないずっと上のほうに天井があります。

ずいぶん高いなと思ったら、舞台上から天井までの高さは実は客席から見える部分の約2倍もあるそうです。これだけの高さがあるので、舞台いっぱいの大きさの背景も客席からは見えないように上部に格納することができます。この背景を吊るす装置はバトンと呼ばれます。バトンの数は何と60本!バトンは1本につき1トンまでの重さに耐えることができます。このバトンにはタニタの重量計が付いていて、今何キロ分の重さがバトンにかかっているか正確にわかるそうです。思わずぶら下がりたくなるかもしれませんが、そうすると体重がばれますので良い子の皆さんはやめておきましょう笑。バトンはコンピューター制御で上げ下げします。バトンを停止する位置や降ろす速さも正確に指定できる優れものです。シアターオーブ開業して間もない頃の演目ミリオンダラー・カルテットではカーテンコールでバトンが降りてこないアクシデントもあったとおっしゃっていました。

もう一度上を見ると、作業しているスタッフの方がいます。この方は照明係で照明器具の位置を手で調整します。ここは意外とアナログなのですね。照明さんは危険な場所で作業するので必ず命綱を装着します。今回は照明の位置決めも実演していただきました。まず、役者さんが舞台に立ちます。その位置に合わせて照明さんがスポットライトをオン。これでOKだったら役者さんの足元に立ち位置を示すバミリを貼っておきます。こんな風に位置合わせするのね、と感心していたら急に私までまぶしい!照明さんが気を利かせてバックステージツアー参加者にスポットライトを当ててくれました。まるでスターになった気分です。ただ、しばらくすると暑くて汗が止まらなくなってきます。照明からこれだけ距離があっても暑くてたまらないのだから、照明スタッフさんはきっと焼けるように暑いのだろうなと思いました。客席からは見えない部分のスタッフの皆様の働きのおかげで私たちは舞台を楽しむことができるのですね。


舞台上手(客席から見て右)には搬入搬出用エレベーターがあります。

このエレベーターはツアー参加者40人でも余裕で乗れるくらいのビッグサイズ。シアターオーブの下の階のヒカリエホールでのイベントのために車の搬入で使用したこともあるそうです。舞台下手にはグリーンルームこと控室があります。(余談ですが、WOWOWでやっている井上芳雄さんご出演のミュージカルコメディ「グリーン&ブラックス」のグリーンはこのグリーンルームのことですね。)このグリーンルームにはソファやテーブルがあって幕間にはここで休憩を取ったりします。他には小さな神棚もありました。毎日開演前にこの神棚に手を合わせる役者さんも多いみたいです。また、危険な装置を使った演出の舞台の前には神主さんをお呼びして舞台上でお祓いをしてもらうこともあるとのことですが、その時のお札もこの神棚に置いておくそうです。


グリーンルームの裏にはいくつか楽屋があります。

今回はこの階の楽屋に入ることはできなかったのですが、舞台からも近い個人用の楽屋ということは主役級の役者さんたちが使用するのだと思われます。大好きなアダム・クーパーさんやラミン・カリムルーさんも使ったのかなと想像するだけで何だかワクワクしました!私たちバックステージツアー参加者はここの一つ上の階にある一番大きい楽屋Hに案内していただきました。広い部屋でたくさんの女優鏡が並んでいます。この楽屋は主にアンサンブルの皆さんが使用するそうです。この階では他にもガラス張りのリハーサル室も見学しました。このリハーサル室はカンパニーの規模によってはアンサンブルの楽屋として使用したり大量の洗濯物を干したりと様々な用途で使われているそうです。


リハーサル室を出て天井裏へ続くエレベーターまでの廊下には歴代の演目のサイン付きポスターが!

こけら落としのウエストサイドストーリーから先日千秋楽を迎えた雨に唄えばまでずらーっとポスターが並んでいます。舞台裏は写真撮影禁止なのでお写真をお見せできないのが残念ですが、これはもう本当に壮観です!どのポスターにもびっしりサインが書いてあって、ミュージカルファンなら喉から手が出るほど欲しい!私、一つ一つの演目を振り返りながらサインチェックするだけで半日はこの廊下で楽しめる自信があります笑。でも、今回はそんな時間はないので廊下を抜けて、天井裏まで進みます。この天井裏は通称スノコと呼ばれていますが、名前の由来はズバリ天井裏の床板がスノコ状になっているから。下が見えるので高いところが苦手な方は足がすくむかもしれません。ここは役者さんは普段入らない場所です。先ほど上げ下げしていただいたバトンを間近に見ることができました。実物を近くで見ると一つ一つのバトンが大きく、ワイヤーも太かったです。


最後にもう一度舞台に戻り、ツアー参加者一同ミュージカルスターになりきってカーテンコール体験。

何のパフォーマンスもしていないのに蚊帳の上がる瞬間は勝手にドキドキ。この秋来日するシスターアクトの音楽に合わせて左、右、真ん中と三方向にお辞儀をしていく三方礼をやりました。客席にはシアターオーブのスタッフさんがいてお辞儀に合わせて拍手してくれるという粋な心遣い。こんなに広い舞台でのカーテンコールは快感で、生まれ変わったらミュージカルスターになろうと決心した次第です笑。



このような形で予定よりオーバーして1時間半以上も舞台裏を説明していただきました。こんな充実していて無料、いやむしろヒカリエの商品券500円分まで貰ってしまっていいのでしょうか。もともと主にミュージカルの来日公演を観るためによく行っていた劇場ですが、このツアーに参加してますますシアターオーブが好きになりました!思わずシスターアクトのチケットを買い足してしまったくらいです。毎年この時期恒例のイベントらしいのでご興味ある方は来年是非応募してみてください。

東急シアターオーブバックステージツアーレポート(ロビー・客席編)

渋谷ヒカリエにある東急シアターオーブのバックステージツアーに参加してきました。
主にミュージカルの来日公演を観るときにお世話になっている劇場。
舞台裏はなかなか見ることができないのでずっと楽しみにしていました。
写真撮影可能な場所が限られていたので写真は少なめですが、よろしければお付き合いください。


まずは本日案内してくださる東急シアターオーブのスタッフさんからのご挨拶。

劇場をもっと身近に感じてもらいたいという思いから毎年このツアーを企画しているそうです。今年の当選倍率は何と5倍!思っていたより高倍率でびっくり。思わず隣にいた姉に「(チケット代という意味で)私はミュージカル界に貢献しているから劇場の神が当選させてくれたのね!」と喜々として話したところ
「劇場の神はお金で人を選別するんだね。」という鋭いツッコミを入れられてしまいました笑。


そんなことはさておき東急シアターオーブという名前の由来、皆さまはご存知でしょうか?

オーブという言葉は英語で球体を表す単語"orb"からきています。渋谷ヒカリエは2003年に解体された東急文化会館の跡地に建設されました。この文化会館の最上階にはプラネタリウムがありました。都会のど真ん中にプラネタリウム、何だか素敵ですね。修学旅行の行き先になるくらい東京でも有数の観光名所だったそうですよ。


次に紹介していただいたのはロビーに飾られているこちらの大きな絵。

この絵は文化会館にあった映画館、渋谷パンテオンの緞帳の複製だそうです。渋谷パンテオンは席数1250席という国内有数の大型シアターでした。東急シアターオーブの席数が1972席であることを考えると映画館としては相当な大きさだったことが分かります。ちなみにこの絵の作者はフランスの建築家、ル・コルビュジエです。少し前に世界遺産登録された上野・国立西洋美術館の設計をした方として日本でも有名ですね。実は何度もシアターオーブに足を運んだにも関わらず、私はこの絵をちゃんと見るのが初めてでした。次からはこちらの絵にも注目したいと思います。


紹介していただいたロビーの絵を眺めつつ、客席に入ります。

ここで案内役のスタッフさんはマイクをセット。今回はコードは背中に通し、マイクは頬のあたりにくるタイプのものでした。場合によってはおでこの辺りからマイクの先端が少し見える程度でお客さんからはほとんど見えないものを使用することもあるそうです。(そういえばNYでブック・オブ・モルモンを観たときは最前列だったのでこのおでこマイクが前髪からぴょこっと飛び出ていたのがよく見えました。)このマイクは実際に役者さんたちが付けているのと同じもので、目の前でセットの仕方を実演してくれました。マイクをセットする時は必ず音響さんが取り付け、位置の調整を行います。キャスト一人一人、オーケストラの楽器一つ一つにマイクをセットしていくことを考えると大変な作業ですね。マイクのコードをたどると発信機に繋がっています。発信機は握りこぶしくらいの大きさで演技中は通称マイク袋と呼ばれる袋に収納します。このマイク袋、発信機にぴったりのサイズです。というのも全て音響さん手作りだからだそう!


東急シアターオーブはステージから一階席の一番後ろまで約29mあります。

同じく渋谷にあるオーチャードホールは39mであることを考えるとシアターオーブはだいぶ距離が短いですね。演技やダンスをより間近で観ていただきたいという思いからあえて距離を短く設計したそうです。観客としては嬉しい配慮ですね。役者さんたちからも客席と近く感じると言われることがよくあるそうですよ。

1階座席の1~5列目まではオーケストラピットとして使用することもできます。

一見他の椅子と変わりありませんが、こちらの座席は簡単に取り外せるそうです。8列目からは少し傾斜がついています。私は以前シアターオーブの7列目で観劇したことがあるのですが、前の列の方の頭が被ってしまい少々観にくかった覚えがあります。舞台目の前の1,2列目が取れなかった場合、6,7列目で見るより8列目以降の方が見やすいかもしれません。また、センターブロックの座席は前列の人の頭が被らないように少し前の座席の位置からずれた位置にありました。


壁にはブロックのような凹凸、バルコニー席上部のひさしが見えます。

これはデザイン上このようになっているだけではありません。拡散壁と呼ばれる音の反響を考慮した壁なのです。この凹凸で音がいい具合に跳ね返り、ミュージカルに最適な残響時間1.5秒を実現しています。ちなみにクラシック用のホールでは余韻を残すために残響時間は少し長めの2秒程度が一般的。シアターオーブはミュージカル上演時のセリフの聞き取りやすさを考慮した残響時間を採用しています。様々な工夫の成果もあってか海外の音響スタッフさんからも音が良いとの評判らしいですよ!また壁の青色は空の色、バルコニー席の白色は雲の色を意識しています。キャッチコピーにもあるようにまさに「宙空のミュージカル劇場」ですね。


バックステージツアーレポ、ロビー・客席編はここまで。次はいよいよステージの上や楽屋へ潜入します!

2017年5月4日木曜日

実写版・美女と野獣を3D MX4Dで観てみた@TOHOシネマズ六本木ヒルズ(おすすめ座席もご紹介)

ディズニーの実写映画・美女と野獣を観てきました。劇場はTOHOシネマズ六本木ヒルズでスクリーン8。ずっと気になっていた3D MX4D対応シアターでの初鑑賞です!

まずはチケット予約から。

鑑賞希望日の2日前0時から発売開始ということで5/2の0時15分ごろアクセスしてみました。が、何とこの時点で良席は全て予約済み。ゴールデンウィークということもあって皆さん気合入ってますね!仕方がないので余っていたB列13番のチケットを予約しました。

チケット代は映画鑑賞料金に加えてMX4D® 追加料金が1,200円、3D鑑賞料金が300円、3Dメガネ料金が100円です。3Dメガネを持っていない大人が観る場合は1,800円+1,200円+300円+100円で3,600円と通常の映画の2倍の料金となります。映画1本に対してなかなか良いお値段。どんな仕掛けがあるのかと期待度はうなぎ登りです。

そしていよいよ鑑賞日当日。

酔わないかな、などと心配しながら劇場に向かいます。スクリーンに到着してまず他と異なるのがMX4Dの鑑賞者専用のコインロッカーです。荷物を床に降ろして見ることは出来ないので、カバンはロッカーに預けるか膝の上で抱えて鑑賞しなければなりませんTOHOシネマズ六本木の場合、コイン返却制でお金はかからないのでここは素直に手荷物全てロッカーに預けましょう。その方が集中して映画を楽しめます。座席には通常のスクリーンと同様ドリンクホルダーがあります。揺れたり濡れたりする中でドリンクを飲む人っているんかい!と思いましたが、以外と使ってる人いました。でも、椅子が揺れたときに隣の人に中身がこぼれる危険性があるのでドリンクを置きたかったら映画が始まる前に半分以上飲んでおいたほうが安心かと思います。

まずは予告がスタート。

しばらくは2D映像の予告映像でしたが、今夏公開予定の「スパイダーマン:ホームカミング」だけは3D MX4Dを使用した予告編でした。私にとって初めてのMX4Dということでドキドキです。静かなシーンでは揺れも少なく、大したことないじゃんと思っていましたがアクションシーンではかなりの揺れ!3Dの効果もあって本当にビルとビルの間を飛び回っているようでした。USJにあるスパイダーマンのアトラクションに近いです。楽しいけどこれを長時間は若干酔いそう。


※ここから美女と野獣本編に関するネタバレあり



そして美女と野獣本編スタート。


冒頭のバラのアップのシーンでまず良い香りが漂います。ドラッグストアに売っているボディソープのローズの香りのような甘い匂いでした。香りが思っていたより強いのでバラが出てくるシーンはすぐ分かります。ただし、バラ以外の香りは一切なかったです。朝の風景のパン屋のシーンではパンの香り、Be Our Guestではシャンパンの香りみたいに場面ごとに香りが異なるのかなと期待していたので少しがっかり。MX4Dではまだ数種類の異なる香りはセットできないのでしょうか。今後の改善を期待します。

揺れに関しては思っていたより激しくなかったです。スパイダーマンが激しすぎたので身構えすぎてました。程よい揺れ馬で駆けるシーンなど長時間揺れている箇所もありましたが、字幕を読みながらでも酔わずに鑑賞できました。揺れをうまく活かしていたのは「強いぞ、ガストン」のダンスのシーンです。ル・フウがテーブルの上にあがってステップを踏むときにステップに合わせて座席も小刻みに揺れます。それがまるで自分もダンスを一緒に踊っているような気分にさせてくれました。ダンスのシーンでMX4Dだと体でリズムを感じられていいですね。MX4Dはアクションや特殊効果が多い映画が向いているのかなと思っていましたが、ダンスが多い映画も向いていると思います。

水の噴射回数は意外と多かったです。水が出てくるシーンでは待ってましたとばかりに噴射してきます。しかもけっこう濡れます。カバンを預けておいて良かったと映画を観ながら感じました。特に「愛の芽生え」でベルが野獣に雪玉を投げるところなんて私の顔にも水がクリーンヒット。ただし、噴射前に小さい音でシューっと音が鳴るのでそろそろ来るなと予想はできます。ちなみに水が噴射されるのは右側からばかりです。女性の皆さん、右頬のチークは完全に落ちると覚悟して行きましょう笑。

けっこう強烈だったのが椅子の背中や座席の下からの振動です。マッサージチェアの激しい版って感じです。背中をゴリゴリやってきて、マッサージが苦手な私には結構痛い。野獣の城にガストンと村人が押し寄せて大乱闘のシーンでは私も椅子から攻撃うけてました。ついでに足首あたりもブラシのようなもので撫でてきます。これもなかなかぞわっとするんです。足を床にきちんとつけていないと体感できないと思うので、足はのばさず正しい姿勢で鑑賞してみてください。

そして予想以上に効果を発揮していたのは照明です。画面向かって左上にライトがあるのですが、すごくまぶしい!スクリーンから目をそむけてしまうくらい効果あります。しかも揺れや水と違って予想外なのでびっくりしました。字幕版で観てるとライト使うシーンは字幕を見逃すと思うので要注意です。



総括

と、様々な演出効果があったので集中して歌を聴けたかというと微妙なところですが追加料金\1,500分は楽しめたかなと思います。イメージ的には東京ディズニーランドにあるアトラクション、ミッキーのフィルハーマジックです。3Dは映画館なのであんなに立体的に飛び出てこないですが、その他はかなり演出が似ていると思います。あのアトラクションが好きな人は是非一度体験してみてください。

おまけ:

TOHOシネマズ六本木ヒルズのMX4Dスクリーンでおすすめ座席

おすすめ座席はC列以降の5~8番。今回私が見たB列は画面が近すぎてスクリーンを見上げる形になります。また、13番は端なので首がを常に曲げる形になりけっこう痛かったです。ただし、座席数が少なくチケットはすぐに売り切れます。良席を狙う場合はネットで予約しておくと良いと思います。